膜が震えると、節ができる
1次元の波を2次元の膜に広げると、特定の周波数で膜全体が決まった模様で震える(固有モード)。震えていない線が節線で、そこに撒いた砂が集まると対称な図形が浮かぶ。Chladni 図形、実在の物理現象。
正方形の膜のモードは二つの整数 a, b で選ぶ。各点 (nx, ny)(0〜1 に正規化した座標)での膜の高さは sin(a·π·nx)·sin(b·π·ny) - sin(b·π·nx)·sin(a·π·ny) で出る。a と b を入れ替えた二項の差なので、対角線に対して対称な模様になる。
固定した縁を持つ正方形の膜の固有振動は sin(a·π·x)·sin(b·π·y)(a, b は整数)で表せる。同じ周波数を持つ (a, b) と (b, a) は重ね合わせが自由で、差を取った sin(a·π·x)·sin(b·π·y) − sin(b·π·x)·sin(a·π·y) も同じ固有値の振動になる。この和が 0 になる点の集合が節線で、Chladni がバイオリンの弓で板を擦って可視化した。周波数(モード番号)が、そのまま2次元の幾何模様を決める。
膜の高さの絶対値を明るさに写すと、震えている所が明るく、節線が暗く出る。a, b を時間でゆっくり動かすと、節線の模様が連続して切り替わる。
明るい領域のあいだを縫う暗い線が節線。a, b が整数に近いところで線がきれいな格子になり、外れると崩れる。砂を撒く代わりに、いまは振幅をそのまま濃淡で見せている。
撒いた点を、その点の足元の振幅に応じて揺らす。振幅が大きい所では大きく弾かれ、節線(振幅 0)の近くではほとんど動かない。揺れの幅 jitter を振幅に比例させて毎フレーム点をランダムに動かすと、点が振幅の小さい所へ少しずつ集まる。
ばらまかれた点が節線へ寄って、振幅の濃淡で見えていた模様が砂の線として立つ。a, b が動くとモードが切り替わり、点が散らばってから別の節線へ集まり直す。jitter の係数 7 を下げると点が動きにくく線が太く残り、上げると弾かれる範囲が広がって線が細く締まる。揺れの強さを振幅に結びつけるだけで、定在波の幾何が粒子の分布として現れる。