地図/幾何/対称性

この先

平面の点を複素数 z = x + iy として持ち、z → (a z + b) / (c z + d) の四つの複素係数で書くと、鏡映・回転・並進・反転がこの一族の特別な場合になる。係数を一組決めれば一つの変換、係数を時間で動かせば変換そのものが連続に移り変わる。

z → (az + b) / (cz + d) がメビウス変換。c = 0 なら分母が定数になり、az + b の一次式 — 回転(a の偏角)・拡大縮小(a の絶対値)・平行移動(b)の合成にあたる。c ≠ 0 だと分母が z に依存し、z-d/c に近づくと値が発散する、円反転を含む写像になる。円と直線をまとめて「円または直線」に写し、角度を保つ(等角)。合成は係数を 2×2 行列 [[a,b],[c,d]] と見たときの行列の積に対応し、変換のリストを行列の積で畳める。

直交した格子を一枚のメビウス変換に通す。各格子線を点列に刻んで z → (az + b) / (cz + d) に通し、写った点を折れ線で結ぶ。a = e^{it} で回転を回し、c を 0 から立ち上げると分母が効きはじめ、まっすぐな格子が円弧の束へ反っていく。発散して画面外へ飛ぶ点は描かずに線を切る。

cc[0, 0] に固定すると分母が定数になり、格子はまっすぐなまま回転と移動だけを受ける。cc の絶対値が上がるほど分母の効きが強まり、中心の近くの線が外へ弾かれて円弧へ反る。直交していた格子線は写った先でも直交したまま曲がる。a を実数の [s, 0] にすれば一様な拡大縮小、b を動かせば平行移動と、同じ一つの式の係数を振り分けるだけで別々の対称操作に化ける。

基本領域と群 — この対は、形を作る側でなく形にかける側にある。群を「変換のリスト」としてデータで持てば、基本領域の各点に全要素を適用して複製する操作が、群を引数に取る一本の関数で書ける。