地図/信号/音の合成

FM合成 — 位相を波で揺らす

波の進む速さを、もう一つの波で揺らす。揺らされる側がキャリア、揺らす側がモジュレータ。式は sin(carrier·t + index·sin(ratio·t)) で、sin の中に sin が入る。ratio がモジュレータとキャリアの周波数比、index が揺らしの強さ。

index0 から往復させると、揺らしが効くにつれて素の正弦波がとげとげに崩れていく。

各 x で mod = sin(ratio·t) を出し、それをキャリアの位相 carrier·tindex 倍して足してから sin に通す。index0 のとき第二項が消えてただの正弦波が出て、上げるほど波形が崩れて山と谷が増える。左上の index の数字が揺らしの強さ。ratio2 の整数比にすると倍音が基音の整数倍に並んで楽器寄りの波形になり、2.4 のような非整数比にすると噛み合わない周期が混ざって鐘や金属寄りの波形になる。加算合成のように倍音を一本ずつ足さなくても、index 一つで倍音の量が動く。

FM合成は John Chowning が 1967 年にスタンフォードで発見し、ヤマハが DX7(1983 年)で製品化した。sin(carrier·t + index·sin(ratio·t)) の入れ子で、内側の正弦波がキャリアの位相(瞬間周波数)を周期的に変える。index(変調指数)が高いほど、キャリア周波数の両脇に立つ倍音(サイドバンド)の本数が増える。サイドバンドは carrier ± k·ratio(k は整数)の位置に出るので、ratio が単純な整数比なら倍音が調和列に揃って楽音になり、非整数比だと不協和な位置に散らばって金属的・ベル的な音になる。少ない演算でリッチな倍音が得られるため、当時のデジタル音源に向いていた。